2017年12月08日

上顎前突症 その15

●上顎前突は上顎の骨や上の前歯が出ている状態

25歳 歯科衛生士
この方は、歯科業界のプロです。
何のごまかしも効きません。この方の勤務先の歯科医師も皆が見ています。
とてもプレッシャーのかかる治療です。


治療前
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お口元の写真
お口元が出ていることを気にされています。
この程度なら、気にならない方も多くおられるでしょう。
ご本人は何も言わないですが、赤唇(唇の赤い部分)の厚みがやや厚いよう
に見えます。これは私の主観です。
オトガイの形が少しもっこりした感じがありますねえ。


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お口の中の写真 
 上下歯列ともに叢生(でこぼこのこと)があります。上顎の叢生は中程度で
前歯に集中しています。下顎前歯の叢生は軽度です。上下顎とも、この程度の
叢生を改善するには抜歯は必要ありません。
 しかしながら、もし非抜歯で治すと上顎前歯の傾斜が増して前へとびだして
いしまいます。お口元は今以上に突出してしまいます。
 しかも、上下顎の奥歯のかみ合わせは、上顎の奥歯が前に来るような不正咬
合になっています。この状態をClass II 咬合と言っています。
 この二つの理由で、上顎左右の第一小臼歯を抜歯することにします。下顎の
抜歯はしません。
 それから、上下前歯のかみ合わせがとても深くなっています。上顎前歯が下
顎前歯を覆い隠すようになっています。この状態を過蓋咬合(かがいこうごう)
と言っています。この改善は難度が高くなります。 
 症例の難易度はかなりの難度になります。程度は中程度から高難度になります。


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診断 
前歯の過蓋咬合と叢生を伴う上顎前突症
治療方針
1上顎前歯のねじれを改善します。まず、上顎第一小臼歯を抜歯してねじれを
 取り除きます。この時に歯科矯正用アンカースクリュー(ミニスクリュー、TAD、
 矯正用インプラントのこと)を併用して、上顎前歯を圧下(骨にめり込ませる)
 を行います。これにより過蓋咬合により改善されてゆきます。
 下顎には当面は装置がつきません。まずは上顎のみを治療してゆきます。 
2上顎前歯を後退させてゆきます。この時にも歯科矯正用アンカースクリューを
 併用します。もし、この方法を併用しないと、上顎奥歯が前に出てくることが
 あります。これが過剰に生じると、前歯がへこまないで終わってしまいます。
 これを避けるために安全を考えて使っています。
3下顎にようやく装置をつけます。


治療中1
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上記の治療方針の1を進めています。
上顎前歯を圧下(骨にめり込ませる)しようとしています。
使用している装置は、セラミック製装置です。今は使用していません。
当院では今はもっと新しいセルフライゲーションタイプのセラミック製装置を
使用しています。


治療中2
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上顎前歯の圧下が進みました。
上顎前歯の傾斜がが増しています。これは現時点ではかまいません。
こうなることは計算済みです。
上顎前歯を後退させます。このときにも歯科矯正用インプラントアンカーを使用
しています。この写真にはたまたま写っていません。

治療中3
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上記の治療方針3に入ります。
いきなり下あご全部には装置はつけません。ここには院長の玄人気質の工夫が
出ています。
上下のゴムを併用しながら、下顎小臼歯と大臼歯のみを配列しています。


治療中4
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ここでようやく下顎前歯6つに装置が着いています。
上下のゴムはまだ使っています。
上顎前歯の後退は進んでいます。


治療後
3年0か月の治療を行いました。
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お口元の写真
お口元の突出は改善されました。上唇がへこんだようです。
赤唇がやや薄くなったように見えます。見えませんか?
オトガイの形が綺麗になりましたね。上下前歯がへこみますと、
お口を閉じるときに唇が引っ張られないのでオトガイが本来の
美しい形に成り易いです。


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お口の中の写真
 上下歯列とも叢生が改善されてきれいに並んでいます。
前歯の咬み合わせは、元よりもうんと浅くなり過蓋咬合は改善されました。
上顎前歯の傾斜もいいですねえ。
 上顎の奥歯に白い詰め物があります。これは仮詰のものです。治療中に金
属の詰め物が外れてしまいました。
 矯正後に適正なものに作り替える予定です。このように矯正の途中でもカ
リエス治療は可能です。


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評価
 左はスーパーインポーズといって、治療前と治療後のセフアロというレ
ントゲンを重ね合わせて治療での変化を調べることができるものです。
黒い線は治療前、赤い線は治療後です。
 上顎前歯がいかに移動したかがよくわかりますね。
前歯の傾斜度を変化させずに、後退と圧下が行われています。
みっず色の線がありますね。これは治療途中の状態です。これは上記の治
療中1の状態に近いです。

重ね合わせs.jpg
 上顎前歯を一旦前に傾斜させて出します。この時に歯根の先は後方へ下が
ります。これを狙ってあえてこういう風にします。
 次に前歯を傾斜で後退させます。これが終了すれば、黒線から赤線への変
化となります。治療療期間が.3年0か月とはやや長い目です。
 しかし、上顎圧下と難易度の高さから適正な治療結果と考えます。
この症例は2012年の学会に発表しました。自信作です。)実は、従来型の治
療では上顎前歯の圧下というのはほとんどできない内容で、今回の治療結果
は夢のような目標でした。
 ところが、矯正用アンカースクリュー(ミニスクリュー、TAD、矯正用イン
プラントのこと)の出現が矯正の治療内容を一変させました。
 現在は本当に良い治療ができるようになりました!
皆様もご安心で治療が受けられると思います。




2017年11月19日

上顎前突症 その10

●上顎前突は上顎の骨や上の前歯が出ている状態

治療前
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25歳 社会人女性 上の前歯と上くちびるが前に
出ていることを気にされています。上顎歯列はV字型。
歯列はきれいにならんでいます。歯列中央に隙間があ
ります。上顎2本目(側切歯)が退化傾向で、歯が細
長くなっています。前歯はかなり前突しています。前
歯の上下の関係、つまりかみ合わせが深すぎます。
”過蓋咬合”(かがいこうごう)と呼びます。

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上顎前歯の前突を改善するために、第一小臼歯を抜歯
する矯正をします。過蓋咬合を改善するために、上顎
前歯と下顎前歯を圧下(骨にめり込ます)する矯正を
行います(これは難しいです)。下顎の前歯は軽度の
叢生(でこぼこ)ですが抜歯しません。下を抜歯する
とをすると、さらに過蓋咬合を増悪化させ矯正治療を
失敗します。最後に上顎側切歯(前から2本目)の幅
を治療中に虫歯治療用の素材をもちいて歯の形を大き
くします。(無料)
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治療後
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上歯列はU字型の理想な形態にかわりました。前歯の
過蓋咬合も改善されました。とても浅いかみ合わせで
す。 オーバートリートメントしています。上顎のみ
抜歯をする治療では、上下の歯の数が合わなくなりま
す。しかし、心配はいりません。 上下は緊密に咬合
させることができます。この状態をFull ClassUとよ
んでいます。この場合は上顎の親知らずを咬合に組み
入れることができます。通常、第三大臼歯(親知らず)
は抜歯することが多いですが、今回は使用しました。
装置を伸ばして咬合に組み込んでいます。丁寧で良い
治療と思います。(治療期間が少しは延びても、提案
はいつも行うようにしています。)

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上顎前歯の傾斜は改善されました。歯の根元の骨の形
も同時に変わっていますね。歯根の移動と同時に骨の
形も変形させることができます。これを利用して審美
的な改善を行うことができます。上顎の前歯の角度が
大きく改善されて前突が解消されました。奥歯の上下
関係も良好になりました。下顎の奥歯を前に移動させ
ることが効果的に行われたからです。奥歯の上下のか
み合わせは、1対2歯の理想的状態です。これもオー
ソドックスな治療の成功例です。当院ではこのような
治療を行っています。

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治療前後の口元の変化
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元々上の唇が少し出ていていましたが、上唇がへこん
だと同時にオトガイが前に出てきました。 白人のお
口元のようです。オトガイの緊張がとれて本来の形に
なりました。この形がこの方の個性なのでしょう。ま
た、上下の唇のバランスも良くなりました。

上顎前突症 その7

●上顎前突症は上顎の骨や上の前歯が出ている状態

治療前
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17歳女性、上の前歯の”出っ歯”を治したいとい
うご希望です。上顎前歯の前突はかなり難度は高い
です。奥歯の咬み合せも上顎が前にでている咬合で、
下顎の臼歯を前に移動させます。下顎の緑線を前に
移動させて、上顎の青線と一致させます。
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上の前歯の前突のために歯列はV型です。改善のた
め上顎第一小臼歯の抜歯が必要です。下顎第二第二
小臼歯の抜歯も必要です。下顎臼歯を前に移動させ
る必要(上記)があるからです。

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治療後
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上顎の前歯の角度が大きく改善されて前突が解消され
ました。奥歯の上下関係も良好になりました。下顎の
奥歯を前に移動させることが効果的に行われたからで
す。奥歯の上下のかみ合わせは、1対2歯の理想的状
態です。
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歯列はU字型の理想的になっています。これもオーソ
ドックスな治療の成功例です。当院ではこのような治
療を行っています。
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治療前後の口元の変化
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上唇部分が後退しました、上唇の赤唇部分が薄くなっ
たように見えます。
歯の移動が大きかったわりに、お口元の後退が少ない
ようにみえます。もう少しお口元の変化が大きくでる
ことも多いです。
せっかくの矯正歯科治療なのですから、歯列だけでな
くお口元もこれくらいは美しくなっていただきたいで
すね。